質問箱 詳解 pt.3

質問箱

ryu.です。

質問箱第3弾です。今回は結構自分的に答えたかったものが多くなっています。そのため、色々語ってしまって内容量としては結構多くなってしまいましたがお許しください。
内容については以下の目次にある通りです。

いずれも受験界にのさばる重要な問題だと思うので、ここで一度自分なりに受験期も含めて色々考えた結果を共有しておきたいなと。ということで今回もよろしくお願いします。

1.参考書周回について思うところ

Question
ryuさんは数学の参考書に関して、何周ほどしていましたか?完璧にするまでの時間が早いなと思いまして。(2020/11/11)

Answer
問題によって1〜5周ほど
ただ大体の問題は2〜3周が平均

一度やったことって案外すぐ忘れますよね。そこで、見た瞬間に解法と答えが浮かぶくらい参考書を読み返せ、同じ参考書を7周はしろみたいな「お前…ガチ?」とか言いたくなる勉強法を説いている人も多いですが、実はこれ案外疑われようもなく普通に罷り通っていますよね。日本では学習塾のことすらcram schoolと訳しているように、この詰め込み教育が蔓延している中では、「基本レベルを押さえるだけで偏差値70は楽に取れる」とか「書かずに読むを繰り返すだけで旧帝に合格」とかみたいな耳を疑うような表現にも、意識さえしっかりしていれば妥当なので正直言って個人的には納得がいってしまいます。
かと言って質が全てというわけでもありませんし、何度も繰り返すこと自体を否定するわけではないです。しかし、最難関大クラスが何度も繰り返すだけで到達可能な境地なのであれば、受験業界でいわゆる東大レベルの難易度がここまで神聖視されることもないでしょう。
はじめに述べたように、一度やったくらいではどれだけ定着が良くても剥がれてしまいます。その上で、下手に何度も繰り返す前に何が勉強に求められているのか考える段階には大学受験の中で到達してほしいです。大学での勉強はより高密度で高難度なものなのですから。
自分の中では勉強で、

①まずは典型問題をよく解けるように
②典型パターンの技術と意味を理解する
③得た技術を応用問題で活かせるよう思考を鍛える
④難問に挑みつつ基礎を確認して、自分の中で知識を基礎から応用まで体系作る

という流れがベストだと思っています。それを実施する中で適切な周回数をすればいいと思いますし、正直それは個人差がありますから「自分で納得がいけば」それで良いんです。要は、どの参考書をやるにしても、勉強の姿勢について

完璧を求めなくていいが、背伸びもしない

という原則さえ守れば、基本的には高校範囲で不可能と思うような次元は生まれ得ません。恐らく。

2.1日の勉強時間の配分

Question
1日に何教科もするな、教科を絞れっていう話を度々聞くのですがどう思いますか?
今夏休みで時間があってどの教科も触れるように勉強しているのですが。(2021/08/16)

Answer
俺は基本的に1日に複数教科やる方がいいとは思ってる
やってないと勘も知識も鈍るし、かといってどの教科も満遍なくだと濃度が薄くなりがちだから、うまくその均衡を取れる位置を自分で見つけられるのが一番かな

正直夏休みも酣かという時期にこの話をするのもなあと思ったのですが、1日の勉強時間をどう割り振るかという問題は意見の割れるところでしょうから触れることにしました。

無論、勉強時間を分割するのと一教科に集中的に使うのと、一長一短であることは間違いありません
分割して時間を使うのでは各教科満遍なく取り組むので長期的な偏りが少ないという長所こそありますがどうしても密度が薄くなりがちで、長時間割いて考えるみたいな勉強をどうも敬遠してしまいますよね。
一方で集中的に時間を使うと、こうしてじっくり考えることや1日の勉強の密度を上げるのには特化していますが、やはり教科間の差が生まれやすい上、その日その日で別の教科のことをすると考えると長期的なスパンが開きやすくて定着度に不安があります。

個人的には回答の通り、1日を適切に分割して複数の教科にあてるのが妥当だと思っています。が、その分け方も一様ではありません。
英数物化を一日4時間でやると考えても、それぞれに1時間ずつ割くよりも賢い使い方はいくらでもあるような気がしませんか?

英語…実力が落ちない程度にメンテナンスがてら30分で長文一題、単語を空いた時間でやる
数学…今日は難問に時間割きたいからちょっと長めに2時間
物理…残り1時間〜90分十分なだけ使って演習を進める
化学…物理に本格的に時間割いたから明日はここを化学にする体で、今日は時間に余裕あればまとめた暗記を押さえ直すか

みたいに(あくまで一例)、その日その日で色々工夫して計画立てる余裕くらいはあるのではないでしょうか?

長期的な計画というのは色々な不都合もあり格別難しいものですが、1日単位で勉強計画を立てるとしたらこれくらい緩いものでも十分に機能するはずです。それに、時間でなくても内容で区切るやり方もあるでしょうし、1日単位なら何も計画通りでなくて全然構わないのですからね。

3.教育格差について

Question
教育格差について
近年になってより顕著に現れているといって過言ではないと思います。ryuさんは「未来永劫差が縮まることはない」との趣旨のツイートをされていました*ので質問です
①教育格差を不平等だと感じますか?またそれは何故ですか
②是正、或いは格差が縮まることはあると思いますか。またそれは何故ですか
③教育格差は問題だと思いますか
(中略)
質問が多くて申し訳ありません…(2021/02/27)

Answer
ちょうど良い機会だからブログの方で扱わせて、ここでは簡潔に回答する
①仮にそれぞれの出生で同じものを目指そうと思ったら不平等であることは客観的に間違いないね
②「未来永劫」は誇張表現だけど、正直今のままだと半永久的に改善されることはないと思う
③これを「問題である」と認識するかは人によるね、俺個人としての意見では是正してほしかったけど地方民としての意見であれば別に問題だとは思わない
(以下略)

*…このツイートを参照

本垢、というか普段募集しているのとは別のアカウントに寄せられたものですが紹介したかったので。この話題に関してはやはり地方から出てきた身としては多少思うところがありますからね。

まず個人的な話をするならば、この地域間の教育格差に苦しんだ気は言うほどそんなにはしません。というのも、私には親の放任主義(言い方が正しいのか分からないが)とリソースの確保の余裕がありましたから。
しかし、これを読んでいる一部の方にとっては耳を疑う話かもしれませんが、地元では難関大に行かせるために子供に中学受験させるという文化や大学は一般受験するのが普通という考えがいわば「普遍的・常識的」ではなかった上に勉強法や内容の吟味は全て自分の負担でしたし、周りに張り合える友人も数える程度しかいませんでしたから、正直苦しい戦いではありました。まあ回答にもありますが、世間の価値観や情報量が違えば同じところを目指すのには差がついて当然ですよね。
その上で、自分がヒューリスティック的に「相対的な位置が分からなくても絶対的な必要基準まで行けば周りのレベルに関わらず到達できる」と信じていたこととそもそも勉強自体が苦ではなかったのが功を奏したのだと思います。

しかし、この差を問題だと思うかは人によります。当然、世間の価値観がそもそも違うのですからわざわざ格差に歯向かう必要も有りません。言わばそれを隔絶された環境の話だと思っているのです。その為、自分のように敢えて不自由を振り切ってまで不確定的な将来に投資しようと考えるのはなかなかリスキーです。したがって現状維持が人生における最良選択になり得る以上、格差を是正しようとか乗り越えようという価値観がまずそもそも共有されません。
故に、残酷な結論かもしれませんが、この格差を問題だと思う必要はない(と思っている)し、自分で殻を破ろうとしている人間は自己責任で苦悩してどうにかすればそれで良いのです。どれが賢明な判断だったのかは現時点からの自分の行いが全て決めることでしょう。

未来永劫、資本主義社会の全てにおいて格差はついて回って当然です。インターネットの普及など、近年我々は自分が「直接届かない世界」を知る機会を得てきました。さすれば、自分が得られる情報は自分の届き得るものである、と過去の経験が錯覚を起こしてしまうのです。そうして機会の均等を散々叫んだ結果が実は想定と違うことに不満が隠せなくなるのでしょう。
結局のところ、情報の普遍化は社会から格差の「不可視性」のみを取っ払ってしまっただけで、今更見えるようになっただけのものに絶望して糾弾するだけ時間の無駄でしょう。

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