東大理三時代の回顧録 -医学部M0期編-

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ryu.です。

さて、大学生活も2年目がそろそろ終了しようかという頃になりました。半年前に教養学部の授業について反省をという記事を挙げましたので、それに倣って医学部での生活について(ざっくりとにはなってしまいますが)雰囲気を知りたいという方に向けてという意味でも、一人の東大医学部生として書いていこうかと思います。
ちなみに、医学部での学年は慣習的に「M○」と表記される場面が多いのですが、東大医学部は前期2年が教養学部として学習するため、専門が始まる3年目を基準として医学部に入る前の2年後半の時期を「M0」と呼んでいるのです。今回はそのM0期について書いていきます。

(注意)東大医学部では詳細な授業内容や資料等に未発表・進行中の研究内容や未公開の情報が扱われる機会が多く、ここで公開できる情報には限りがあります。そうした内部機密への抵触を避けるため、この記事の内容について質問等は受け付けませんのでご了承下さいませ。
(Caution) The Faculty of Medicine at the UTokyo has many opportunities to deal with unpublished, ongoing research and unreleased information in course content and materials, and there is a limit to the amount of information that can be disclosed here. In order to avoid infringement of such internal confidentiality, please understand that no questions will be accepted regarding the contents of this article.

東大医学部のカリキュラム

カリキュラムと授業の概要

医学部の授業は他の大多数の学部と異なり6年制になっていることからも言える通り、学習量がかなり多いです。基本的に全部必修なので「単位」という概念はないですし、授業も学期単位で週・曜限ごとに決まって行われるというわけではなく「集中講義」制として割とギチギチなカリキュラムになっています。

またこの時期の授業では他の医学部と同じように、「基礎医学」という人体の構造や各機能・臨床知識のための基礎についての学問に触れていきます。
M0では後述の重要科目「組織学」「生化学」とその他細かい基礎医学の科目に加え、公開授業(今年度はオンラインのため一般公開はなしだった)の「医学序論」など医学生としてのモチベーションや心構えを作るような授業もあり、想像以上に授業内容の幅は広いです。

ただいずれの授業にもどうやら「大学では個人での自主的な学習が軸」という思想が共通して強く根付いているようで、良く言えば講義は放任主義ながら質問の際には具に丁寧に教えてくださいますし、逆に悪く講義のスケジュールや雰囲気自体は割とゆるくて適当だったとも言えます。そのため、教養学部時代からは圧倒的に忙しくなったものの授業自体が大変だった印象は今期はあまりありませんでしたね。授業自体は、ね

激重主要科目

先に書いたように、M0において重要な立ち位置にいる科目は「組織学」「生化学」の二つであり、いずれもかなり範囲も広く試験も難しいとして恐れられています。同期の友人の反応やTwitter等を見聞きしている感じ、割と再試験に回されている人も少なくなさそうでしたね。

「組織学」は人体の正常な組織について顕微鏡を用いたスケッチを通じて理解する科目です。「ミクロ解剖学」とも言われるように、細胞単位での正常組織の構造・成り立ちについて知るというのがコンセプトになっています。
一番の思い出として、試験に遅れそうになったこのスケッチが集中力的にしんどかったです。また、スケッチの実習を中心に授業が進むため「自学習推進」の精神が一番如実に現れており、授業中からテスト前にかけてどこで一番苦労したかでその人の真面目さや態度が窺えそうな雰囲気はありましたね。ちなみに私はバカヤローなので当然試験直前でした。

一方、「生化学」は生体内の諸物質に関わる現象を広く学ぶ科目です。各分野に秀でた専門家の先生方によるオムニバス形式で、最先端の内容も授業で触れてくださるという点で東大医学部という場所の凄さを改めて実感した科目でもあります。
さて勉強の方はと言いますと、こちらは何といっても範囲の広さがネックでした。今もなお発展の速度が衰えない分野ですので、全部きちんとやろうと思うと勉強量が膨大どころの話ではありません。医療的な話が高頻度で絡んでくるのも大変な理由の一つになっていたと思われます。個人的な話でいくと代謝学の分野で興味深い事例もいくつかあって好きだったのですが、如何せん量が多く勉強をしていく中で嫌いになりそうになったのはいい思い出です。

対面が増えた件について

そして、ついに今期に入って先生方のご厚意により対面授業が一部的に解禁されてきました。M0では途中から組織学の実習とその他一部の本試験は対面で実施されました。大学入学時からオンラインの身としてはある程度対面に期待をしていたので有難かったです。

…が。オンライン授業は生活リズムが崩壊しやすい点に短所が凝縮されているように、一度崩れたリズムの中で体に鞭を打って大学まで通うのは想像以上にしんどいものがありました。私が大学から遠いのもあるのですが、一部だけ対面という状況では大学へ通うという動作にそれほどモチベを感じられないのが大きかったように思います。ただ、仲間内と相談しながら実習を進めたり、しょうもない談笑や会食でストレスを発散出来たりと利点も大きいのですが。
ある意味、このオンライン講義の義務化は新しい講義の形の一つとして試金石となるべきだったように感じます。正直、実習の形を取らないのであれば講義はオンラインの方が集中しやすいという人もいるのではないでしょうか。私の周りでもハイブリッド形式(対面/オンライン併用)を望む声も多いですし。

忙しさ具合

基本的に週の平日のほとんどは朝から夕方まで授業や実習が入っており、対面の通学もあったりと忙しくはあります。しかし基本的にその後に自由は利きますし、個人的な課外活動や遊びにも割と行くことはできるように思います。
ただし、試験前は想像できる通り地獄ですね。

また、M1(3年生)からは全部対面という話も来ており、きちんと通えるのか心配です。
そう考えたら高校生の時の俺マジですげぇな。
もはやアホやん。

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