東大理三時代の回顧録 -医学部M1前期編-

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お久しぶりです。
あらかた今期の試験が終了して結果待ちの状態で夏休みに突入したryu.です。とはいえ既に一番重い科目の試験は通しているので、恐らくなんとかなっていることでしょう。

さて、復帰早々はブログの雰囲気を取り戻しがてら、毎度お馴染み医学部の生活についてざっと顧みる記事にします。今回は今年度の春から始まった学期についてです。ここでこの記事を書くと来期の記事に苦労しそうですが…。

(注意)東大医学部では詳細な授業内容や資料等に未発表・進行中の研究内容や未公開の情報が扱われる機会が多く、ここで公開できる情報には限りがあります。そうした内部機密への抵触を避けるため、この記事の内容について質問等は受け付けませんのでご了承下さいませ。
(Caution) The Faculty of Medicine at the UTokyo has many opportunities to deal with unpublished, ongoing research and unreleased information in course content and materials, and there is a limit to the amount of information that can be disclosed here. In order to avoid infringement of such internal confidentiality, please understand that no questions will be accepted regarding the contents of this article.

M1前期のカリキュラム

さて今期からは医学部として本格的に所属することになり、本格的な実習がかなりの密度で集中していました。M0の頃と同じように、授業が「集中講義」制として詰め込まれてギチギチなカリキュラムになっているというのは相も変わらずです。

基本的にこれは医学部に限った話ではないのですが、東大では後期の専門過程になると途端に生活の忙しさが何倍にも膨れ上がります。というのも、前期教養課程という制度のために他の大学のカリキュラムより多少遅れを取った状態になるからです。
それに加え、今期からはついにオンラインの授業が本格的に無くなり、もともとあった大学の形態に戻ってきました。コロナが入学初期から蔓延してオンサイトでの授業形態に慣れていなかった我々世代ということもあり、結構今期はてんやわんやで生活を送っていたような気はしますね。
友達とたまに遊んだり旅行に行ったりくらいの時間は取れましたが。

激重主要科目

さて、この時期に入って一番の肝であったのがやはり医学部といえば、の「マクロ解剖学」です。
医学部に通っていない方はかなり気になっている部分かとは思いますが、正直どのくらいまで踏み込んで話をして良いのか測りかねます。まあ最悪何か抵触してしまっていたら私が怒られて処分をもらうだけなので、勝手な裁量で判断して書くことにします。

解剖学実習って何するんけ?

まず基本的な情報として、東大医学部での実習は

自分たちで教科書を読んで予習し、それをもとにご献体の解剖を与えられた期間丸々かけて丹念に進める

という方針になっています。無論解剖学教室の先生はいらっしゃいますが、補助と監督程度にしか関わってきません。
昨年から言われていた大学での「自学自習」のスタンスの表れだとは思いますが、2ヶ月で真新しい作業を一通り片付けるにはなかなか不親切だと思うんですよね…。

ちなみに、一班4〜6人程度でそれぞれにご献体が割り当てられています。聞いたところだと恐らく他大学と比較しても一班の人数がやや少ないようで、それぞれの作業量が多い分理解を深めやすい点はかなり有利なのではないでしょうか。
正直オンサイトで実習が行われていなかったらその後の勉強にもかなり支障をきたしていたのでは?というくらい難解な部分もあり、友人との会話でメンタル的に助かったという意味でも今年は対面で行われたことに感謝するしかないですね…。まあそれでも結構きつかったところはありましたが(後述)。

やはり断トツで大変

とはいえ医学部全体で見ても目玉科目ですから、かなりしんどいのも事実です。
平日はほぼ毎日半日〜1日の時間を使って想像以上の肉体労働を強いられる挙句、長い時間ホルマリンと脂肪・組織の腐臭に晒されて作業を行うわけですので、かなり身体に響きます。慣れない間は近い場所で揮発した気体を吸いすぎたせいか具合が悪くなったこともありました。

加えて、覚える量が今までの何物ともまともな比較にならないくらい莫大です。流石に全部は覚え切れていません。それぞれの構造について名前や英語名はもちろん、物理的な特徴や機能・他の組織との相互関係・関連する疾患にまで必要な知識は至ります。
さらに剖出の段階においても、鼠蹊部・腋窩・頸部の脈管といった細かい部分の剖出は本当に大変です。きちんと解剖できないと後から自分たちが苦労するのに、中途半端な知識量ではまともに解剖させてもらえないのが厳しいところです。

ですが一部つらい思いをしてまで頑張った分、解剖を通じて結構自分の体について理解が深まった点だったり試験を落としたかと思ったり、色々ありましたがそれについてはまた追々。

それ以外の科目について

ちなみにこれ以外の科目は4つほどあり、それぞれ神経解剖学免疫学微生物学寄生虫学となっています。
いずれも解剖と比較するとなんてことは無いのですが、普通に興味の湧く科目が多く勉強ではあまり苦労しませんでした。特に神経解剖学。大まかにそれぞれの雰囲気と感触をまとめるとこんな感じです。

神経解剖学
いわゆる脳解剖学。神経回路系についての講義と組織学・マクロ解剖学的な実習で1セット。
勉強自体もやっていて楽しかったし、脳の解剖もここでやったので結構満足感の高かった科目の一つ。

免疫学
身体の免疫機構についての講義と、最後にちょろっと実習が2日間。
思いの外物質名や細胞名に分別しにくいような固有名詞が多くて知識を整理するのに一苦労。

微生物学
細菌やウイルスについての生命機構についてがメイン。
総論は苦でもないけど個別にウイルスや毒素の特徴を覚えなきゃいけないのが少ししんどかった。

寄生虫学
寄生虫の生命機構がメイン。微生物学の対象を寄生虫にずらした感じ。
色々な学名や生活環の暗記等、脳筋暗記ゲーすぎてマジで苦労した。

基本的には興味を持てる内容が多くて良かったのですが、如何せん試験向けに色々考える段になると暗記事項がドスンとのしかかってきて嫌な思いをしますね…。病名や寄生虫の学名・番号で区別される免疫細胞やサイトカインの種類等、物量とノリに任せて暗記を強いられるのだけは本当にやめてほしかった。病名にてめえの名前を付けないでくれよ。

いずれにせよ、今期は非常に満足感の高い勉強ができて良かったのかなと思います。詳しい内容で「これ面白かったな〜」みたいな内容についてはまた(可能な範囲で)ブログに個別記事としてまとめようと思います。
このM1の夏休みが実質最後のまとまった時間をしっかり取れる休みみたいな話も聞くので、目一杯楽しんで秋からの勉強にも勤しんでいきます。

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