受験のとある定説に思うところ

受験全般・メンタル面

ryu.です。

いよいよ受験も後半戦になってきましたね。本番に向け準備は順調でしょうか。
今回は後半も入ろうかというタイミングなので一度警告を皆さんにすべくこのような記事を展開することにしました。今年受験する方にとってはもちろんですが、それ以外の方にとっても大事なことをこの記事において結論づけましたので、ぜひ最後までご一読ください。

目次/Contents

-1ページ目-
導入
・勉強において成長とは
「伸び」のタイミング
成長の質と速度
-2ページ目-
現役生と浪人生の差
結論と警告

ことの始まり

さて、受験には「現役生は最後まで伸びるからめげずに頑張れ」だとか、「浪人生は現役生より伸びが小さい」とかそういった定説が蔓延っていますよね。実際にこれについて疑問を呈している人も多いはずですし、なんだかこれだけ見ると学校の先生が現役生を励ますためだけの舌先三寸もののようにも思えてしまいます。

現に質問箱の方にもこのような質問が来てました。

Question
勉強の成果は3ヶ月後くらいに出るっていう説?と現役生は最後まで伸びる&浪人生は伸びにくいっていう説についてryuさんの考えをお聞かせ願いたいです。
あくまで僕の勝手な考えですが、普通に考えたら勉強内容をその場でしっかりと定着させたならすぐにでも結果は出ると思うし、現役生浪人生に関わらず、勉強すればその分は伸びると思うのですが。伸びについては現役生の方が伸び代があるからということですかね?(2021/09/09)

これについて私が思っているところを今回は書いていきます。

勉強における成長

伸びるタイミングの再確認

まず浪人生だ現役生だとかは関係なく、勉強をする中で「成長する」タイミングがどこなのかを今一度明確にしておく必要はあります。個人的な経験則に基づくものではありますが、それは

  1. 基礎や新しい知識が定着したとき
  2. それまでにない知恵を獲得したとき

の二つと言えるでしょう。
大体どのような感じかは一瞥のうちに明白かと思いますが、私が持ち出している概念なので簡単に説明を。以下のように自分はそれぞれ捉えています。

1. 基礎新知識
単純系基礎知識(単語や文法・公式や法則、物質の性質や出来事の特徴づけなど)および実践的基礎知識(構文解釈や典型解法、1対1対応的解法利用法など)における知識量の増加、成長を意味

2. 新しい知恵
①をもとに洗練・体系化された応用的な知識体系の獲得を意味
パラグラフリーディングや論理展開把握などの難文章読解技術・解法考案までの思考定石・横断的な解法応用のように、広く高度な領域と定義

そこで、それぞれの定義以外の部分の違いについて、思うところを書いておきましょう。

それぞれの性質と成長速度

さて、これらの「知識」と「知恵」が獲得できるタイミングについて今度は考えます。
明らかに次元の違う二領域であるというのは皆さんご明察のところでしょうが、個人的に一番大きいのは

前者は機械的な学習で定着するのと比較して、後者は能動的な学習でないと定着する余地がない

という点です。

まず基礎的な個々の知識というのは断片的な情報が多く、その分必要なリソースは小さいです。単語も文法も法則も公式も、一つ取ってみれば(難易度に差こそあれ)それほど苦労するようなものでもありません。それはなんとなく経験的に共有されているはずで、「勉強内容をその場でしっかりと定着させたならすぐにでも結果は出る」ようなものであるはずです。高校範囲に上がってある程度知識をインプットした後、それでも必要な知識量はどの大学を受験するにもさほど差はありません。範囲は大体同じなのですから。

しかし、その差を生み出すこととなる後者の体系的な「知恵」の方ですが、こちらになると話は別です。包括的な思考力や読解のスキルなんかは一朝一夕で定着するようなものではなく、ましてどこかの参考書にペラっとあっさり書いてあるようなものでもないです。それもそのはず、一朝一夕で身につくはずのないものが参考書に書かれたところで相手にスッと飲み込んでもらえる訳がないです。勉強の早期に国語の難しい文章を読んだ時に単体の文はある程度理解できても文章全体での意見や論理が判然としない、あの感覚と大体原理は一緒です。
そのため、普段の演習書などで知識そのものをレベルアップしたり、解法について色々と思索を巡らせてレベルアップさせていく必要がある訳なんですね。

イメージが湧きにくければ、よくこうした文章で取り上げられるDunning–Krugerの曲線(一応参考程度に)をイメージするのが一番わかりやすいでしょう(あれとはちょっと違う論理展開なのですがイメージ的には同じ感じなので)。いわゆる基礎は定着がしやすく、部分的にも明白であるので成長の実感がつきやすく、まして出来なかったことができるようになる訳ですから実際の成長度合いも著しいものです。しかし問題はその先で、それ以上の知恵を獲得していくためには日々の演習を通じて試行錯誤や思索を繰り返さなければなりません。そのため成長度合いも割に合わず速度も遅い上に、恐ろしい話、漫然に続けるだけでは実力は頭打ちになってしまいます

トップダウン的に師からその辺の教えを授かるのと比較してみても、ボトムアップで色々やるのは想像以上に大変なことなんですね(3年間の経験談)。

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